我が家に新人の市松さんがやって来ました。

名前はすずちゃん

 6月に開催された『もの型り展』の

『幼子人形づくり体験』というイベントで作った子です。


suzu1


この『もの型り展』では

市松人形や、江戸切子、染絵てぬぐいなど

今をときめく日本の職人さん達の

江戸時代から伝わる伝統の技を間近で見学できたり

ワークショップを介しながら

その伝統工芸を体験できる催しもので

お茶の水のワレテラスコモンにて行われました。


collage0



今回市松人形の指導をしてくださるのは

市松人形師の山崎明咲さん。

あらかじめ、明咲さんが作ったお人形に

紅を差し、眉毛の面相や髪つけをして組み立てるという行程で

約4時間ほどで出来上がる作業です。


お人形は一人、一人手作りなのでお顔もさまざま。

笑っている子やおすまし顔の子、

一重の子に二重の子、

ちょっと眠たそうにした子もいれば、今にも笑い出しそうな子もいます。

どの子が自分のところに来てくれるのかはわかりません。

自分の座った席に用意されているお人形が

ご縁のあったお人形。

どんな子が当たるのか包み紙を外す時はとてもドキドキです


suzu10



この子が私とご縁のあった子。

見ているとついこちらもつられて微笑み返しをしてしまうような

笑顔の可愛い子です。


ちなみに、座った席のご近所さんのお人形も

写真に撮らせていただきました。

表情がちょっとずつ違っていてどの子もとっても可愛い子です。



collage



まず、ボディとお顔に紅を差し、それから面相をし、

モヘヤの髪の毛をつけて組み立てます。

お顔は汚れるといけないので

一旦、紙に包んで仕舞っておきボディだけに紅を差します。

ほんの少し紅を差すだけで

まるでお人形に血が通っているかのように

活き活きとした表情が出て来るから不思議です。

不自然に赤くならないように

慎重に紅を差していきます。

ボディに紅を差し終えたら、お顔の紅差しと

唇を塗ります。


suzu11


お顔の紅を差し終えたら、今度はいよいよ面相です。

極細の筆の先に墨をつけて眉毛を描きます。

眉毛はビスクドールのように一定方向から規則正しく描くのではなく

頭を持ち替えて別方向からも自然に眉毛が生えているかのように

描いていきます。

一度描いたら消すことはできないので一番緊張する作業です。

面相は何度か経験していますが

それでも筆を持つ手が震えてしまいます。



suzu13


そして最後に髪をつけて、組み立てたら完成です。

今回の髪の毛はモヘヤです。

この段階では、つけたばかりの髪がまだ落ち着いていないので

カットすることはできません。

和紙にしっかり頭を包んできつくゴムで留めて

2〜3日髪をねかせたから家でカットすることになりました。



お人形の髪の毛は伸びないのでカットを失敗したら大変です。

左右の長さが揃うように慎重に、慎重に....ってハサミを使っていたら

こともあろうに自分の指まで切ってしまうというアクシデントが........

お人形の大事なお顔を汚してしまったために

後日、明咲さんにお直ししていただきました。



suzu7



以前の記事にも市松人形の出来上がるまでの行程を書きましたが

市松人形は昔ながらの材料を使った作業工程が実に74工程もあります。

その工程のほとんどが地味で大変な作業です。

今日、体験教室で行った工程は、仕上がりまでのほんの数工程にしか過ぎません。

一番楽しい作業をさせていただいて

こんな可愛い子を連れて帰れるなんて申し訳ないような気がします。



suzu6


通常の市松人形の形状とは違って

幼子人形は小さい幼児をモデルとした赤ちゃん体型なのですが

おすわりすると足がガニ股になります。

そこがまた可愛い〜〜


suzu8



すずちゃん、両手にお人形さんを抱っこして嬉しそう


suzu4


『ね、このお人形さん、みて、みてぇ〜』

畳の上をパタパタと元気よく走り回る音が聞こえてきそうです。
  

suzu3


こらこら、すずちゃん

これはあなたのかぶるものではありませんよっ

お地蔵さんに返してきなさい


suzu5


すずちゃんの屈託のない笑顔に癒されます。


suzu2


自分と同じくらいの大きさのお人形を抱っこして

すずちゃん、ご満悦ですね。

すずちゃん、うちの子になってくれて

ありがとう〜


suzu9


何年かぶりに行ったお茶の水。

昔よく見ていた光景とは違っていてビックリ。

まるで未来にタイムスリップしたような錯覚を覚えました。

いかに田舎暮らしに慣れてしまったか......(><)


近代的なビルの合間に見えるニコライ堂。

以前はその堂々たる存在感のある姿が

遠くからもよく見えましたが

現在はご覧の通り、高いビルに囲まれてしまっていました。

近代的なビルと、歴史漂う建築物が並立する様は

まるでドイツのフランクフルトの街並のようで

不思議な気がしました。



suzu133