ドイツのマインツの朝市の屋台で始めて出会ったブンツラウアー陶器。

ドイツからポーランドにかけて、古くから伝統的な手法で作られている

手作りの陶器です。

コバルトブルーの釉薬に白いドット模様の伝統的な絵付けがされている

この素朴で温かさの感じられる陶器にひと目で心惹かれました。

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マインツはライン川の船下りを楽しむために最初に立ち寄った場所。

これからでリューデスハイムまで行き、

夕方にはフランクフルトへ戻らなければなりません。

一瞬、この壊れやすくてかさばる食器を持ったままの移動は 

かなり大変だと頭をよぎったのですが

この可愛らしい陶器の魅力には勝てませんでした。

ディナープレートやミルクピッチャー、コーヒーカップやシュガーポットなど

たくさんの種類の陶器があったのですが

これからの道中を考えて、ポットとマグカップ、

そして下部にろうそくをセットし、ポットのお湯を保温することのできる

ポットホルダーを買い込み

背中のリュックサックにギュウギュウに押し込んで

乗船時間に余裕を持って朝市を後にしました。



朝市の開かれているマインツ大聖堂前のマルクト広場からライン川の乗船場所へは

地図の上ではほんの数百メートルなので

余裕で間に合うと高をくくっていましたが

朝市で珍しいものを見て回っているうちに、すっかり方向がわからなくなって

しまいました。

行けども行けども船着き場はおろか、ライン川すら見えません。

おかしいと思って道を尋ねると、

船着き場とは全く逆の方向に歩いていたのでした。

あわてて今来た道を走って戻り、ようやく川にたどり着いたものの

船着き場ははるか遠く。

すでに船が艀に接岸し、最後の乗船客が船に乗り込もうとしているところでした。

この船を逃すと、次の船は夕方の便だけ。

何としても乗り込まなくては.....



全速力で走ったものの、

走っても、走っても背中の陶器が重くて、

まるで夢の中、雲の上を歩いている感じ。

一向に前に進んで行けてない気がしました。

時計を見ると、すでに出航時間を過ぎてます。

船着き場まではあと500メートルはありそうです。

足はガクガクになるし、お腹は痛くなるし、もうこれ以上走るのは無理。

あきらめて歩きだしたら、遠くの方で船員さんが手招きをするのが見えました。

私たちを待っててくれているのです。

最後の力を振り絞って、

走って、走って、また走って、息も絶え絶えにようやく艀にたどり着いて

倒れ込むように乗船した途端、船が走りだしました。

すでに出航時間は10分も過ぎていました。

それでも待っていてくれたのです。

ドイツの人の温かさが身にしみました。



あの時持ち帰ったブンツラウアーのマグカップを眺めると

当時の思い出がよみがえります。

次にドイツに行く時はお皿やシュガーポットも買って帰ろうと思っていながら

月日は過ぎ、

子供も大きくなって、なかなかドイツに行く機会ができませんでした。


最近、あるネットショップでこの陶器を扱っているところを見つけました。

ドイツのフライブルクに住んでいらっしゃる方のお店で

さまざまな模様のブンツラウアー陶器や、ヨーロッパのアンティークや

雑貨を取り扱って扱っています。

早速、念願のブンツラウアー陶器を取り寄せていただきました。


ドイツ陶器とヨーロッパの雑貨のお店


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大好きなBachを聴きながら

午後のティータイムを楽しむ、ささやかな幸せの時です。


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